「カンバン方式」をオフィスで

トヨタ自動車が開発

業務改善をするときに大変参考になるのが、トヨタ自動車が開発した「カンバン方式」です。
「カンバン方式」とは、自動車を製造する工場内においてムダを省くために必要なものを現場の担当者が看板を使って示すという方法です。
数多くの製造工程のある自動車産業においては、なんとなく製造をしていると全体像が不明になったり、時間や在庫などのムダが生じやすくなります。
そこで今どこでどのくらい作業工程が進んでいるかということを客観的に明確にすることにより、現場の担当者や責任者、工場管理者までもが情報を一元的に管理することができるようになります。

すぐれたモデル

そんなカンバン方式ですが、業務改善のモデルとして大変すぐれていることから現在では製造工場を離れた事務系のオフィスワークにも応用をされるようになってきています。
ブルーカラーの現場で用いられたカンバン方式を、ホワイトカラーの業務で使用していくために行われたのが「見える化」によるボードによる工程管理です。
例えば流通関連業の場合、通常であればそれぞれの担当者が発注を受けてから仕入先と卸先にそれぞれ連絡をして、その間をつないで発送などをしていきます。
他店舗展開をしているような場合には、仕入れた品物を各店舗に割り振って配送するというような業務も行います。
このときカンバン方式を導入することにより、現在どの作業がどの状態にあるかということを視覚的に理解することができます。

ホワイトカラーにおいて使用されるカンバン方式でよく使われるのがホワイトボードですが、大きなものをオフィス内に掲げておき、それぞれが今どのくらい進んでいるかということを担当者が印をつけていくようにします。
すると現場や発注先のどこがどんな状態になっていて、どこかに待ちが起きていないかということを見ることができます。
進行状況を担当者が全員で見ることができるので、突然の工程が発生したときにも柔軟な対応をすることができます。

カンバン方式を導入するときには、業種や業態にかかわらず、現場の人間一人一人の参加意識が求められてきます。
もともとのカンバン方式が工場長や部内管理職だけが持っていた権限をそれぞれの現場担当者に下ろすことにより、現場の動きを具体的に把握できるようにしたというものです。
なので属人的な業務をなくし誰でもすぐにその仕事を見ることができる「見える化」を進めるということがカンバン方式導入の最初の一歩となります。