部門別の見える化戦略

信用しているからこそ「見える化」を行う

業務改善によって見える化を図るためには、それぞれの部門別にどこを「見える」ようにするかをきちんと知っておくことが大切です。
見える化が行われるのは社内内部の業務内容だけでなく、組織や管理体系がどのようになっているか、取引先との提携状況はどのようなものか、客先へのフォローやアフターサービスはどのようなものかといった、対外的なものまでがすべて含まれます。

「“見える化”を行うのはどうしょうか」という話をコンサルタントが経営者の人に勧めると、古い企業の人ほど「うちは社員を信用しているから必要ない」とばっさり断られてしまうこともありますが、むしろ「見える化」はその人を信じるからこそ行うことができる手段であるとも言えるのです。

有名な中小企業の経営者などは「自分は人を疑わないために見える化を行う」とまで言い切っています。
例えば社内で何らかのトラブルや不祥事が起きたとき、見える化が進んでいればどうしてそのようなことが起き、誰に責任があって誰にはないのかということをはっきりさせることができます。
しかし見える化の進んでいないブラックボックスのような企業では、何か問題が起きても誰に責任があるかわからず、本当はなんの責任もない人まで何かよくないことに携わったのではないかという疑いを受けてしまうようなこともあるでしょう。

最初から見える化によってその人の業務内容が明らかになっていれば、問題を改善するためには誰に話をすれば良いのかをはっきり把握することができます。
見える化とは、上から監視をするシステムではなく、現場の人間が自分の仕事内容を責任を持って行うことができるようにするシステムなのです。

企業内の部署をまとめると

企業内の部署を大まかに分けると、

・本社スタッフ…管理、経理など
・顧客対応スタッフ…営業、マーケティング、販売など
・取引先との関係業務スタッフ…製品サービスなど
・技術スタッフ…設計、技術、開発など
・製造スタッフ…製造など

となります。
見える化はすべての部門がお互いの行っている業務が何であるかということを理解できるようにするものであるとともに、同じ部門で働く人同士に流動性を持たせるためのものでもあります。
営業やマーケティングスタッフの場合には、現在の取引先との関係や契約までの進捗状況をお互いに情報共有できるようにし、製品サービス部門ではアフターサービスへの満足状況のデータを全員で蓄積していく、技術や製造では納期までの制作進行状態をみなで共有するといった方法です。