業務を改善するとなると、どうしても「すべてを変えなければ」と考えてしまう人も多いものです。
このように考えるのは仕方ない部分もあります。
改善とは
「改善」という事は今とは違う事と認識してしまいがちですので、ついつい良い部分まで余計な事をしてしまうケースもありますし、データだけを見て改善案をまとめてしまうケースもあるのですが、時期が違えば流行や世相も異なりますので、データだけで改善案をと考えるのは些か時代錯誤とも言われています。
つまり、改善をと思ったら過去のデータを見るのではなく、視点を変えてみるのも良いのです。
過去のデータだけを見て改善をと思っても、それは誰のためなのかが明確ではありません。
例えば日本を代表する自動車会社のトヨタは、改善する際には過去のデータなど気にしないようにしているのです。
部品調達を例に出しても、為替相場の問題があります。
為替だけはトヨタがなんとか出来るものではありませんが、過去のデータで検証するとなると為替に影響されてしまいがちです。
つまり、為替というトヨタが関係ない部分のデータを努力で改善しようと考えてしまう事になりかねないのです。
そのため、トヨタは過去のデータから検証するのではなく、顧客のニーズから改善案を出すように考えているのです。
どのような自動車が求められているのか。
それに付随して求められているのはどのような事なのか。
検証も大切
これらを徹底的に検証するのです。
どの会社でもこのような視点ではなく、過去のデータと比較して「ダメになっている」「良いかも」と考えてしまいがちですし、比較対象は前年同月比を用いる所も多いのですが、世相の違いがあるので、それらは一概に比べる事が出来ないものだとの声もあるのです。
なぜこのような形での「改善」が主流となっているのかと言えば、日本の会社システムではそれが当たり前となってしまっていたので、「改善=過去のデータ」といった固定観念が出来上がってしまっているのです。
ですが改善は過去のデータと比較するだけではありません。
そもそも、改善する目的がどのような点なのかによって、行うべき改善策も変わってくるのです。
つまり、改善策でもっとも大切なのは「どのように改善するのか」であって、過去と比較する事ではありません。
発想の転換というと大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、改善策をと言われると条件反射で過去のデータと比較する人もいるのですが、過去のデータを見るのはあくまでも方法の一つであって、必ずチェックしなければならないものではありません。
目的を設定した上で、ではそのために今足りない物は何か。
それを考えるのが改善策なのですから、過去のデータにとらわれる必要はありません。