経理の現場に活かす

ルーチンワークも改善可能

企業内で行われる活動の中でも、ともするとルーチンワーク化しがちなのが経理業務です。
確かに経理の仕事で最も大切なのは「ミスをしないこと(=数字を合わせること)」となるので、属人的な部分がほとんどなく日々回されてくる伝票を決められたフォーマットに従って打ち込んでいくという作業が中心になります。
ですがそうした作業も一見それ以上改善の余地がないように見えて、実際にはかなりの部分を変更していくことが可能です。
大切なのはいつも当たり前にやっていることを当たり前だと思考停止するのではなく、一歩下がった運営ができるように考えていくことができるようになるということです。

ジャストインタイムと自動化

経理の現場での業務改善方法に生かすことができ項目として、トヨタ式の「ジャストインタイム」と「自動化」があります。
これらはトヨタ自動車の製造工場から発生した方法ですが、その根本的な思想は経理業務にも十分応用していくことができます。
まず「ジャストインタイム」ですが、これは部品を扱う工場内においては、必要なときにだけ必要な分を取りに行くというシンプルな方法です。
漠然と作業を行っている場合などでは、個々人が自分の能力に応じて作業を行っているので、流れによって作成される1つの過程においてどこかに滞留部分ができてしまいます。
経理においても作業が早い人と遅い人がかならずいますので、もし早い人が上流工程にいると、下流工程の人のスピードにより時間の待ちが起こるようになってしまいます。

この場合、ふつうの考えでは後工程の遅い人をせっついて遅いということを責めるだけが業務になってしまいがちですが、「ジャストインタイム」においては全く反対の考え方をとります。
すなわち上流工程の人が自分のスピードで仕事をしてしまうと、その分待ちの時間が生じてしまい、必要なときに必要な工程ができなくなってしまいます。
ですので、早い人は遅い人のスピードに合わせるようにして一連の仕事にムダな待ち時間を作らないようにするとい作業が必要になってきます。

ただし単純に作業を遅くすることが改善というわけではなく、そこでは異常事態が起こりにくくしていくという工夫も同時に行っていくことが必要になってきます。
経理の場合には作業の早さもそうですが、きちんとしたチェック体制の維持もまた重要な仕事になります。
なので仕事が早い人の業務は別のチェックなど必要な作業に振り分けるようにするなどして、できるだけムダなく仕事ができるような体勢を作っていくことが大切になります。