マニュアル作りには柔軟性が必要

「属人的」な企業とは

ここ最近の社会的な業務改善の流れに「属人」から「組織」へというものがあります。
かつて中小企業など規模の小さな組織においては、個々人の能力を十分に発揮すればお客さんがつき、会社全体の成績も上がっていくという認識のもと、仕事が割り振られてきました。
そのような個々人の能力を中心に動く企業のことを「属人的」と言います。
ところが時代が変わり、地元密着型の商店街が減って全国チェーン店やフランチャイズ加盟店が増えるにつれ、個々人の能力を発揮させるよりもむしろ、誰が担当しても平均的によいさサービスを提供できるようにするという組織的な編成が一般的になってきました。
属人的な運営方法の場合、一人が同じ仕事をずっと担当することになるため、例え一人だけがよい営業成績をあげることができたとしても、そのノウハウが社内の他の人に伝えられないため、退職や休職などが起きたときに突然業務に穴が開いてしまうという問題点もあったため、より組織的な運営への移行が加速されていったようです。

マニュアルを作るメリット

属人的運営を組織的運営に変更していくときに絶対に必要になるのが「マニュアル」です。
コンビニエンスストアやチェーン系スーパーに勤務をしたことがある人などにはわかりやすいと思いますが、店内のレイアウトや新商品の陳列方法、また複数の品物を購入されたときの袋詰の方法などには、きちんと守るべきルールが決められています。
それらマニュアルは入社をしたと同時に配布され、ほとんどのお店でマニュアルに記載されている内容が完璧にできるようになるまでの期間を研修期間として設定しています。
マニュアルはそれまで数多くのチェーン店などで蓄積された内容を集約したものであるため、そのとおりに仕事をすれば基本的には間違いなくお店を回転させていくことはできます。
マニュアル内容を把握する人材を増やせば、急な退職や休職があってもすぐに周囲がカバーをすることができます。

不測の事態にも備える

ですが、そんなマニュアルもあまりにも四角四面に作ってしまうとそれが業務を阻害してしまうことがあります。
マニュアルとはあくまでも全く普段通りに業務を行う平常時を意識して作るものなので、何らかの不測の事態が起きてしまった時には、マニュアル通りにするとむしろよくない結果となってしまうこともあるからです。
サービス企業として超一流と言われるディズニーランドにおいては、災害時には各パートに独立した臨機応変性を認めた権限を与えているといいます。
マニュアルを作る時には柔軟性をもたせるようにしておくことがコツです。