自浄作用を促す業務改善

トップダウン型とボトムアップ型

業務改善をするときの手法としては、まずトップが強い意志を持って行うというトップダウン型と、末端からの意見を吸い上げて改善計画を立てるボトムアップ型の二種類があります。
どちらの方法を取るにしても、適切に業務改善を達成するためには、聖域なく公平性を保って計画を進める必要があります。
業務改善に失敗する企業にありがちな例として、改善計画の中に手出しできない部署やエリアを作ってしまったり、部署や課によって対応方法をバラバラにしてしまうようなケースがあります。
業務改善において大切なのは、業務改善をすることによってをきちんと達成すべき「目標」として掲げることであり、業務改善という単なる手段を目的化してはいけません。

トップダウン型

トップダウン型の業務改善をするときには、特に経営者が強い意志を持っていることを示す必要があります。
ただしこのときの示し方も、朝礼や会議の挨拶で強い言葉を発するようなだけではいけません。
従業員として指示に従う立場の側にとっては、経営者や管理職の人が本気であるか口先であるかというのは非常に敏感に感じられてしまうものです。
実際にあった事例ですが、社内のある部署に経営者の愛人がコネ入社をしており、そこだけ業務改善に取組まなかったことで、社内全体の指揮が下がり、結局腰折れした業務改善になってしまったような事例があります。
業務改善を行う時の経営者は、ストイックと周囲に思われるほどの真剣さをアピールする必要があります。
「このくらい大丈夫だろう」と大した理由もなく判断して部分的な棚上げをしてしまうと、それが従業員の信頼を損ない、士気を落としてしまうことにもつながります。

ボトムアップ型

またボトムアップとして意見を集約する場合には、その内部からの通告を公平に扱うようにするということも大切です。
内部通告は未だに日本文化内においてはよくないことという刷り込みがあるようです。
不正を正したいという気持ちがあったとしても、それによって長年努めた部署にとってマイナスになるような報告をした従業員が、その後の仕事で不利益な取り扱いを受けてしまったという事例も聞かれています。
内部通告はうまく機能すれば継続的に自浄作用を得ることのできるとても素晴らしい方法です。
適切に内部通告制度を作り上げるときには、管理する側が不公平のない態度でそれらを受け止め対応していくことが大切なのです。
また内部通告そのものが形骸化して、あら探しをすることが正しいというような空気にならないよう配慮する必要もあります。